「毎日なにしてるの?」が心に刺さる。海外駐在妻の見えない葛藤

海外駐在妻の見えない葛藤 子育て

海外で暮らす駐在妻というと、どんなイメージを持ちますか?
「自由時間がたっぷりありそう」「語学も上達して楽しそう」…
そんなポジティブな印象を抱く方も多いかもしれません。

でも実際は、言葉も文化も違う土地で、家族を支えながら孤独や不安と闘っている女性たちがたくさんいます。

そんな駐在妻たちの心に、ふとした言葉が突き刺さることがあります。
とくに、次のような何気ない質問が、実は強く心を揺らすのです。


💬「毎日なにしてるの?」

この言葉、悪気がないのは分かっています。
でも、なぜかこの質問をされると心がざわつくんです。

「昔は“どんな仕事してるの?”って聞かれても、ちゃんと答えられた。
今は、“何してるの?”って聞かれるのが怖くて、外に出るのもためらうときがあるんです」
自己紹介が怖くなりました。

かつては、仕事を通じて社会とつながっていた。
「〇〇会社で働いています」「こういうプロジェクトをしていて…」
そんな会話の中に、自分の存在価値や頑張りを見いだせていた

でも駐在で環境が大きく変わり、
名刺も、肩書きも、評価される場もなくなった今、
「毎日なにしてるの?」という問いは、
“あなたには社会的な価値がないのでは?”と問われているように感じてしまうことがあります。

これは、実際に多くの駐在妻から聞かれるリアルな声です。
他人の言葉に傷つく以前に、「何もしていない自分」への不満や焦りを抱えてしまう。
そんな日が、定期的に訪れます。

もちろん、実際には「何もしていない」わけではありません。
異国での家事や子育て、異国で生活をする。
それは並大抵のことではなく、十分に尊いことです。

でも、社会的な役割や評価が見えにくい環境にいると、
つい自分の存在価値を疑ってしまう。

「私は何者なんだろう」
「このままでいいのかな」

そんな不安と戦いながら、笑顔を保っている人がたくさんいます。

駐在妻という立場は、「自由で羨ましい」と思われがちですが、
実際には多くの人が「見えないプレッシャー」と「自己否定」との戦いを続けています。

  • 「せっかく海外にいるのに、何も成長できていない気がする」
  • 「英語も中途半端。子どもと主人のサポートだけで終わる毎日」
  • 「自分の人生、どこに向かってるんだろう?」

そんな気持ちを誰にも言えずに抱えている人も多く、
“自分自身の視線”が、最も厳しくなる瞬間があるのです。


💬「どうして働けないの?」

この質問は、駐在妻にとって特に心に重く響く言葉かもしれません。

「働きたくても、働けない事情がある」
「それを説明するたびに、“言い訳してる”みたいでしんどい」

実際、多くの駐在妻が「働けない」理由は以下のように複雑です:

■ 会社の規定で働くことが禁止されている

たとえば日本の企業に勤める駐在員の配偶者は、「家族が現地で就労した場合、手当が全額カットされる」というケースが少なくありません。
パートやアルバイト程度の収入では、むしろ家計がマイナスになることさえあります。

■ 就労ビザの取得が困難

駐在員の帯同ビザでは基本的に働けない国が多く、働くには別途就労ビザの取得が必要。
それには現地の企業に雇ってもらい、スポンサーになってもらう必要があり、非常にハードルが高いのが現実です。

■ 英語の壁と、孤独との戦い

「現地で仕事を探せばいいじゃない」と軽く言う人もいますが、就職に十分な語学力を身につけるのは簡単ではありません
日常会話はできても、履歴書、面接、職場での電話や書類対応…。すべてを英語でこなすのは、何年住んでも難しいという人も多いのです。

キャリアを中断して渡航した女性にとって、「働けない状況」は想像以上にストレス。

「私は社会から取り残されているんじゃないか」
「ブランクができて、この先どうなるんだろう」
そんな思いを抱えながら、それでも家族を優先してここにいる。

そんな状況で、「どうして働かないの?」という言葉は、無力感をさらに強めてしまうこともあるのです。


💬「英語、もう話せるようになった?」

これは駐在妻たちがプレッシャーを感じる言葉の代表格。
努力している人ほど、この質問がつらく響きます。

「毎日がんばってる。でも、“まだ話せないの?”って言われたような気持ちになってしまって…」

現地のスーパー、病院、学校…。
どれも当たり前に使う英語なのに、それがうまく話せない。
そのたびに落ち込んで、自分を責める。

誰よりも「話せるようになりたい」と思っているのは本人なのに、
“まだなの?”という一言で努力が否定されてしまったように感じてしまうことも。

言語習得は一朝一夕ではいきません。
努力のペースも人それぞれ。
だからこそ、評価されることなく、そっと見守ってもらえるのがいちばん嬉しいのです。


大切なのは「共感」と「寄り添い」

駐在妻たちは、環境の変化のなかで自分の役割や存在価値に悩むことがあります。
誰にも言えずに泣いてしまう夜もあるし、家族のために笑顔でがんばろうと、無理している日もある。

だからこそ、

「毎日暇でしょ?」
「なんで働かないの?」
「英語は話せるようになった?」

何気ない言葉が想像以上に重く響くこともあるんです。


☕ もし声をかけるなら、こんな風に

  • 「慣れないことも多いと思うけど、どう?大丈夫?」
  • 「最近ちょっとでも楽しいことあった?」
  • 「困ってることがあったら、遠慮なく言ってね」

答えを求める質問より、気持ちに寄り添う言葉を。


この記事のまとめ

  • 駐在妻は「自由でいいね」と言われる一方で、就労不可・制度の壁・語学の不安などさまざまな現実と戦っている
  • 働けば家族手当がカットされるなど、経済的リスクも背負っている
  • 「毎日なにしてるの?」「働かないの?」「英語できるようになった?」という言葉は、知らず知らずのうちに相手を傷つけているかもしれない

あなたの何気ない一言が、誰かの心をそっと軽くすることがあります。
今日、誰かに優しい声をかけてみませんか?


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